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心理的安全性を高めることで救われる命がある

よさラボサポーターの岸田ヨシヒロです。こんにちは。

今日はあなたや僕の命と心理的安全性についての話です。僕が心理的安全性の大切さをこんなにしつこく訴える理由は、場合によっては僕やあなたの命にも関わる大事なことだからです。ちょっと暗い話もあるかもしれないけどぜひ読んで欲しいと思います。

あなたは会社勤めですか?だったら『労災』という言葉を一度は耳にしたことあると思います。労働災害の略語ですね。仕事中に怪我したら会社に責任があるよってことで、労災として認定されます。

ちょっとした怪我で済めばいいですが、場合によっては仕事中あるいは仕事が原因で命を落とす人もいますね。とっても残念なことですが、実際に確かに、そういう事実があります。認めざるを得ない事実です。

そんな労災によるちょっとした怪我から死亡事故まで、労災を防ぐために必要なことはなんだと思いますか?僕は、そのひとつが職場の『心理的安全性を高めること』だと思っています。

心理的安全性は、どちらかというとチームの状態をもっと良くしよう、より生産性を高めよう、という文脈で使われることが多いように思いますが、僕は「自分たちの命を守るために心理的安全性を高めよう」と言っても過言ではないと思っています。

Contents

心理的安全性の欠如が招いた大惨事

以下に紹介する内容が労災に当たるかどうかは別として、現場の心理的安全性の欠如が原因のひとつとなって人の命を奪う結果になった事例を紹介します。辛い話だけど、あえて書きます。これが現実だから。

ボーイング737MAX機の墜落事故

2018年10月。ライオン航空が運航するボーイング737MAX8型機が墜落し、乗員乗客189人が亡くなる事故がありました。なんとその直後、2019年3月にはエチオピア航空が運航する同型機が墜落し、乗員乗客157人が亡くなりました。短期間の間に二度も墜落事故を起こしたことになります。

墜落の直接的な原因は、センサーの欠陥であると言われています。「失速防止システム」が不必要に作動し、必要以上に機首が下がり、その結果、墜落を招いたとされています。

直接の原因はこのような「センサーの欠陥」なのですが、それ以上に問題なのは、センサーの欠陥を2017年時点でボーイング社の現場社員は把握していながらも、上層部はそれを認知していなかったということです。

当機はサウスカロライナ州の工場で生産されていたそうですが、従業員が無茶な製造スケジュールを強いられており、疑問を呈すれば職を失う、という恐れを抱きながら生産に携わっていたとも言われています。

つまり、職場の心理的安全性が極度に低かったということです。心理的安全性という概念の提唱者であるハーバードビジネススクールのエイミーC・エドモンドソン教授は、生産オペレーションの見直しにとどまらず、根本的な企業文化の変革が必要だと警鐘を鳴らしています。

 

スペースシャトルコロンビア号の空中分解事故

2003年2月、スペースシャトルコロンビア号は大気圏へ再突入する際に空中分解する事故を起こし、7名の宇宙飛行士が犠牲となりました。以下、ウィキペディアから引用しますが、

事故原因は、発射の際に外部燃料タンク(External Tank, ET)の発泡断熱材が空力によって剥落し、手提げ鞄ほどの大きさの破片が左主翼前縁を直撃して、大気圏再突入の際に生じる高温から機体を守る耐熱システムを損傷させたことだった。コロンビアが軌道を周回している間、技術者の中には機体が損傷しているのではないかと疑う者もいたが、NASAの幹部は仮に問題が発見されても出来ることはほとんどないとする立場から、調査を制限した。
ウィキペディアより

とのことです。こちらも、事故の直接の原因は断熱材の破片が機体を直撃したことです。

しかしその後の調査によると、機体の損傷に気づいて問題あることを訴えた技術陣の話を、NASAの管理機構は真面目に取り合わなかったとされています。技術陣が何度も機体の調査を求めたにも関わらず、その要望は聞き入れてもらえなかったようです。

その結果、この大惨事です。

世界中が注目するスペースシャトルの打ち上げと運用という仕事の中で、それまでにも何度もシャトルの打ち上げが延期されているという状況で、さらにシャトルの不具合や運航管理の欠陥を指摘するような発言をしなければならない技術者の気持ちがわかるでしょうか。

きっと、とても心苦しかったのではないかと思います。誰もが無事に滞りなく成功してほしいと願っているシャトルの打ち上げと帰還です。それに水を差すような出来事は起こってほしくないし言いたくない。

でも、機体に異常があれば宇宙飛行士の命にも関わる。だからこそ技術者は声をあげたのに、その声は聞き入れてもらえなかったのです。

何度も勇気を奮って声をあげたのに聞き入れてもらえない。そんな状況が続けば、次第に技術者も声を出せなくなっていく状況がありありと想像できます。分野は違えど、僕も技術者の一人なので。

コロンビア号の一件も、根本的にはこのような組織体制の心理的安全性の欠如が問題だと考えられます。

心理的負荷による自殺

ここまで2件は宇宙・航空業界の話でした。最後にご紹介するのは、もっと多くの人にとって身近な話だと思います。

大手広告会社電通の新人女性社員が過労を苦にして社員寮から飛び降り自殺した一件は、日本中で大きなニュースになりましたね。この件は、過労を苦にした自殺として労災認定される結果となりました。

当時、僕はその出来事をどこか遠いところで起こっている出来事だと感じている部分がありました。働き過ぎ(働かされ過ぎ?)でうつになり、自傷行為に走ってしまう…よくある話だな、とさえ思いました。

そんなとおいところで起こっていた事件が、僕にとって急に現実味を帯びる瞬間がやってきます。

ある会社に勤める僕の友人が、仕事が原因でうつ状態になりました。その後、その友人は会社に復帰することなく、亡くなりました。僕はそのとき、その会社を心底恨みました。

最近、あらゆる業種の企業で心理的、精神的な不調を訴える人が増えていると言われます。世の中の変化が激しく、どの業界にしても、来年事業が存続しているかどうかわからない。ましてや会社が存続しているかさえわからない。そんな時代です。

そんな時代でありながらも、組織体質は旧態依然としたものであり、働き方改革が叫ばれてはいるものの、「残業時間は減ったけど仕事は減らない」という典型例が示すように、労働者にはさらなる負荷がかかっているのだと思います。

日本の人事制度・システムは、場当たり的な施策を打っているだけでは、会社というチームを、チームとして機能させることができなくなってきています。

うつになってしまう人が出てしまうのも、チームが機能していないことの証拠です。チームメンバーがお互いに相談しあえたり、失敗や不都合なことも共有しあえたりする、心理的安全性の高いチーム環境が整っていれば、メンバーがうつ状態になる前に手を差し伸べられるんじゃないでしょうか。

だから僕は、世の中の会社で「うつになって自殺」といったニュースを見ると、そのチームの問題だと捉えています。企業内の部署単位のチームの問題もあれば、企業というチームの風土的な問題もあるかと思います。

何れにしても、個人の問題ではなくチームの問題。それを解決できるように、一人でもうつになる人が少なくなるように、行動したいと考えています。悲しい現実もあるけれど、世の中には「チームをよくしよう」と働きかける人たちが大勢いるのも事実です。

ぜひその人たちの力も借りながら、自分の力もそこに足し合わせながら、世の中を変えていきたいと思います。

おわりに

今回は、心理的安全性と私たち(特に労働者)の命について書きました。重い話になりました。それでもここまで読んでくれたあなたなら、きっと僕と一緒にアクションを起こしてくれる人だと信じています。

僕一人の力でできることは限られています。あなたの力が必要です。

ぜひ一緒に、心理的安全な世の中にしていきませんか?世の中に心理的安全なチームを増やしていきませんか?僕やあなたの小さな積み重ねが、大きな成果に繋がると信じています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
岸田 ヨシヒロ
皆からはキッシーと呼ばれてます。よさラボWEBサイトの運営サポートをやりながら、心理的安全な場を広めたいとも思い、記事も書いています!このようなWEBサイト(ブログ)構築のご相談も賜ります。気軽にご連絡くださいね。
「ここに居られて良かった」と思えるチームになる
  • チームの心理的安全性を高めたい
  • 安心して意見を言い合えるチームにしたい
  • メンバーの強みが活かされるチームにしたい
  • 「このチームにいられてよかった!」と思える場をつくりたい
  • 「ここで力を発揮したい!」と皆が積極的に思えるチームにしたい

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