心理的安全性

心理的安全性は日本文化に馴染み浸透するのか?

よさラボサポーターの岸田ヨシヒロ(キッシー)です。こんにちは。

先日、米国滞在経験がある方と心理的安全性という考え方の日本での普及について議論をさせていただいたのですが、その中で、日本では文化的背景のために広まりづらい考え方なのかもしれないという話になりました。

ということで今回は、日本の文化的背景と心理的安全性の関係について考えてみました。こういうこと語るには、もっと日本の歴史も勉強しなきゃなと思うのですが…まずは誰もが知っている日本文化との関係で見ていくことにします。

Contents

『心理的安全性』は米国から日本へ輸入された

『心理的安全性』の概念自体は、ハーバードビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が提唱した考え方であり、つまり米国での研究が先行しておこなわれてきた分野です。それが日本にも持ち込まれ、広まりつつあるのが現在だと思います。

“Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams”
Amy Edmondson
Administrative Science Quarterly
Volume: 44 issue: 2, page(s): 350-383, (1999).

ここでは職場の心理的安全性という点にフォーカスしますが、当然ながら米国でも働く環境を良くしていこうと研究が進められているんですよね。日本では最近働き方改革と銘打ってその動きが加速してますね。

そして、日本でも心理的安全性の考え方が注目され始めたのは、働く環境が欧米化している部分もあるからだと思っています。つまり、日本独特な終身雇用や年功序列が崩壊し、”就社”から”就職”へと最近急速に変化していますよね。

人工知能の分野などでは、新卒の進入社員でも初任給が跳ね上がったりしていますし、そういうところを見ていても、日本の働き方もかなり変わってきているなと感じます。

米国では昔からそのような働き方(ジョブ型とも呼ばれる)が当たり前ですが、日本でも同じような環境になりつつあるってことですね。このように、働く上での制度的な面が変わってくると、それに合わせてソフト的、マインド的な部分、つまり働くことに対する意識も変えていく必要があると思うんです。

だから、米国での研究の結果、働く環境には心理的安全性が必要そうだとなれば、それが遅れて日本でも広まり始めるというのはある意味必然なのかと思います。

日本独特の文化について

日本でも心理的安全性とやらが必要になった。ならば、欧米諸国の後を追って真似をすればいいかといえば、決してそういうわけでもないんですよね。なぜなら、日本には日本の独特な文化事情もあるからです。

日本の文化と言えば、「和を重んじる」というのがよく言われることですよね。調和を大事にすると捉えれば、とてもいい文化だなぁと思います。一方で、ちょっとひねくれた言い方をすれば、当たり障りなく無難にやりこなす文化とも捉えられます。

これは「本音と建前」みたいな話ですね。”和を重んじて”当たり障りなく建前を並べて、本音の部分は察してよねという話です。こういうコミュニケーションに慣れてしまっている(というか、こういうやり方しか知らない?)日本人は、本音、つまり自分の想い、自分の根底にある考えをそのまま伝えるということがとても苦手なんじゃないかと思います。

なんとなく、その感じはわかってもらえますかね、あなたも日本人だったら(笑)認めたくない気持ちもあるけど、自分もそういうとこあるかなぁ…って思います。

日本文化は心理的安全性とはマッチしない?

ここまでの話、お互い気兼ねなく発言しあえる雰囲気とも言い換えられる『心理的安全』という観点から見ると、日本は心理的安全でない状態になりやすいと言えるかもしれません。お互い遠慮して、本音をなかなか言わないですからね。

認めたくはないけど、日本の組織で心理的安全を確保するというのは、欧米に比べてさらにハードルの高いんじゃないかということです。

それでも心理的安全な場が必要になる

そんな文化圏の日本でも、これからは心理的安全性をベースにしてお互いの価値観や意見を出しあうということがとても大事になってくると考えています。理由は主に2つあります。

ひとつは、日本社会が欧米ではこれまでスタンダードだった働き方の仕組みを取り入れていこうとする部分が多々あり、他国と同じようにグローバルでビジネスをやっていくとするならば、欧米では一般的なコミュニケーションの方法というのもある程度は取り入れていく必要があると思うからです。

ある意味、働きやすさを改善するためのコミュニケーションのツール的に、心理的安全性を捉えるということです。

もうひとつは、組織での働きがいを改善するために、心理的安全性の考え方をインストールしていく必要があるということ。よさラボ代表のチィ(高井ちずこ)さんが『心理的安全性はOSである』という記事を書いてくれていました。

心理的安全性はOSであるこんにちは!高井ちずこ(チィ)です。ここ数年でぐっと注目度の上がった「心理的安全性」。気兼ねなく想いや考えを言える雰囲気、安心して自分の...

まさに、チィさんの記事に書かれている通りですが、心理的安全性を組織のOSと捉えてインストールする。様々な組織の取り組みの土台になるものだから、組織のメンバー全員が共通認識できるようにしていく。そんなことが必要なのかなと思っています。

もしかすると、日本文化とは必ずしもすぐにマッチしない部分もあるのかもしれませんが、日本人が心理的安全性の考え方を取り入れることができたら、そんな素晴らしいことはないとも思います。

もともと控えめ、遠慮すること、譲り合うことが美徳という意識がインストールされている状態ですが、その上でお互いの価値観を伝え合い、その存在を認めあおうとすることができるんです。

それってなんか、すごくいい感じだと思いません?和を重んじながらも、お互い発信しあえる、価値観を共有できる状態になるのです。そんな関係性がどこの組織にもできてきたら、素敵な世の中になりそうな気がします。

おわりに

ということで今回は、日本文化と心理的安全性についてのお話でした。いかがでしたでしょうか。ご意見ご感想など、もし何か思うことがあれば、ぜひお聞かせいただければ嬉しく思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
岸田 ヨシヒロ
皆からはキッシーと呼ばれてます。よさラボWEBサイトの運営サポートをやりながら、心理的安全な場を広めたいとも思い、記事も書いています!このようなWEBサイト(ブログ)構築のご相談も賜ります。気軽にご連絡くださいね。
「ここに居られて良かった」と思えるチームになる
  • チームの心理的安全性を高めたい
  • 安心して意見を言い合えるチームにしたい
  • メンバーの強みが活かされるチームにしたい
  • 「このチームにいられてよかった!」と思える場をつくりたい
  • 「ここで力を発揮したい!」と皆が積極的に思えるチームにしたい

そんなあなたや、あなたのチームにオススメなのが「チームのよさがみえる会議」です。あなたの会社にファシリテーターがお伺いして心理的安全性の高い場作りのお手伝いをします。お気軽にお問い合わせください。

まずはちょっと体験してみたい、という方にはこちらの「チームのよさがみえるセミナー」がおすすめです。直近の開催日程はこちらから。