ブログ

「ありがとう」の研究と誰かの“よさ”を通してみえる感謝

ヨシヒロです。どうも。


あなたは毎日、「ありがとう」って誰かに言ってますか?あるいは言われていますか?自慢じゃないけど、僕の妻は、例えば僕が洗濯をたたんだり食器を片付けたり、もっと些細なことでも、「ありがとう」をきちんと声に出して言ってくれる人で、僕もありがとうを声に出すように意識しています。

ありがとうってある意味魔法の言葉だと思います。たった5文字の、たった一言で、こんなにも誰かをハッピーにできる言葉ってないですよね。心理学の研究では、ありがとうのメッセージが実際に人間の幸福度を向上させることも証明されています。

今回は、「ありがとう」という言葉をチームをよくするためにどう使っているか?科学的な根拠はあるか?といったことを調べたり考えたりしてみた記事です。最近ありがとうって言ってないな…とか、会社やチームでどうすれば褒め合う文化を作れるかな…と悩まれている方の参考になれば幸いです。

Contents

企業でも取り入れられるサンクスカード

職場でもありがとうを伝える機会を増やすことで、例えば人間の承認欲求を満たすことにもつながり、それがモチベーションアップにつながり、ひいては業績にも影響するということで、サンクスカード(サンキューカード)を導入している会社も多いと思います。


最近はカードもIT化していて、WEB上のプラットフォームでサンクスカードを贈りあったり、それらのデータを集計したりできるアプリやサービスも登場していますね。

よさラボのセミナーの中でもサンクスカードではないけれど、お互いにメッセージを贈り合うワークがあります。あまり言うとネタバレだから言わないけど(笑)、お互いのよさをメッセージカードで伝え合うワークです。(ほぼ言ってしまった笑)

先日、僕がもらった「よさメッセージ」

ありがとうって照れ臭くて言いにくかったり、逆に言い過ぎてルーチン化してしまうと心がこもらなかったり…ってこともあると思います。でも、ありがとうを伝えることをうまく習慣化して日常に溶け込ませれば、チームワークを高めるとってもいい活動になると思うんですね。

「ありがとう」が日常的に、自然に、そして発する人が素直に(やらされではなく)言いあえているチームや職場って、なんとなく想像しただけでも「いい雰囲気そうだな〜」と思いますが、ありがとうの効果は科学的にも検証されていたりします。いくつか研究事例をご紹介しますね。

「ありがとう」の研究

人間の幸福度やウェルビーイングといったことについては、心理学の中でも特にポジティブ心理学と呼ばれる研究分野で研究されています。心理学って科学的って感じがしない、と思われる方ももしかしたら多いかもしれません。


それはメディアの影響がおおいにあると思います。が、実際の研究の現場では、統計(数学)的な手法を使ってアンケートデータを整理したり、最近では人間の行動データを様々なセンサーで計測して幸福度を推測したり、様々な科学的な手法で研究されているんですよ。

感謝の手紙の効果

例えばJournal of Happiness Studiesという心理学分野の論文に掲載された“Letters of Gratitude: Further Evidence for Author Benefits”(感謝の手紙がその著者に有益性をもたらす証拠(ヨシヒロの意訳))と題したケント州立大学Toepfer准教授らの論文では、感謝の手紙とそれを書いた人の幸福度について述べられているようです。

This study examined the effects of writing letters of gratitude on three primary qualities of well-being; happiness (positive affect), life-satisfaction (cognitive evaluation), and depression (negative affect). Gratitude was also assessed. Participants included 219 men and women who wrote three letters of gratitude over a 3 week period. A two-way mixed method ANOVA with a between factor (writers vs. non-writers) and within subject factor (time of testing) analysis was conducted. Results indicated that writing letters of gratitude increased participants’ happiness and life satisfaction, while decreasing depressive symptoms. The implications of this approach for intervention are discussed.
Springer.comより引用した本論文のアブストラクト》

 

男女219名を対象とし、分散分析、因子分析といった統計的手法の組み合わせによる研究がおこなわれ、感謝の手紙を書いた人たちは幸福度や人生の満足度が向上した、という結果が得られたそうです。


〜のようです…とばかり言っているのは、ちゃんと論文を取り寄せて読んではいないからです(汗)いずれ、きちんと読もうと思っています…心理学の専門じゃないからたぶんほとんど理解できないんだろうけど…

日本における感謝研究

Toepferらの研究はアメリカでおこなわれたもので、「これって文化が違う日本でも同じことが言えるの?」という疑問もできそうです。個人的には日本人にも概ね当てはまるのでは?と思っていますが、日本人独特の感謝のカタチというのも指摘されています。

日本人の感謝には「ありがたい」という喜びや満足感だけでなく,してもらったことへの負債感の双方が混在した感情体験が伴うことや,それらが日本人特有の心理的体験であり「(どうも)すみません」を的確に表す表現が欧米文化に見当たらないことを指摘している。ー中略ー日本人が感謝場面で体験する「すまなさ」の背後には,相手への負担や迷惑への申し訳なさや,謝罪を伝えないことで相手に非礼と受け止められる不安などがあり,今後も変わらず甘えさせて欲しいと思うために「(どうも)すみません」の発言が伴うと論じている。
《岩崎、五十嵐:茨城キリスト教大学紀要第50号より引用》


僕もよく言いますけど、日本人って誰かに何か親切なことをしてもらったとき「どうもすみません〜ありがとうございます〜」って言いますよね。この言い回しは日本人独特な表現なんですね。きっと日本語を勉強し始めたばかりの外国人は、なぜ謝罪と感謝の言葉を並列に並べるのか?と理解できないんだろうなと思います(笑)日本語ムズカシイネ。


引用した茨城キリスト教大学紀要には国内外における感謝に関する研究事例がいくつも紹介されています。こういうの見ると、「ありがとう」の一言をここまで掘り下げるのか〜と研究の奥深さを感じますね。

おわりに

個人的な興味で「ありがとう」に関する研究論文をいくつか当たってみましたが、実践的にありがとうを伝えあることによる効果を発揮するためには、最初に紹介したサンクスカードや、チームのよさがみえるセミナーの中でも出てくる「よさメッセージ」みたいな“言葉にして贈り合う”というシンプルな制度を導入するのがいいように思います。


ひとつ気をつけなければいけないのは、感謝を伝えることで幸福感は向上するけど、これは長続きしないというのも研究で明らかになっているということです。だから、シンプルなやり方で無理なく続けられることがとても大事ってことですね。

ちなみに僕がもらったよさメッセージのカードにも、ありがとうの言葉が記されていました。このカードをもらったとき、僕が別の方へ贈ったカードにもありがとうの文字を書いたか、少なくとも口頭ではお伝えしたことを記憶しています。

よさメッセージのワークでは、「お互いに感謝を伝え合おう」ということを第一の目的として明確には言っていないのですが(感謝の言葉でもいいよ〜とチラッとは言っていたような気はするけど)、誰かの“よさ”に目を向けると、自然にありがとうも出てくるというのは、ハッピーなことがうまく循環しているような気がして、とてもいいなと思います。

単に感謝を伝えるだけでなく、相手のよさを見ることを通じて感謝が湧き出す。いやぁ、よさラボの活動は素敵ですね。だから、僕はサポーターとして応援したくなるんです。

ということで今回は、「ありがとう」についてのお話でした。最後まで読んでいただきありがとうございました!!

ABOUT ME
岸田 ヨシヒロ
皆からはキッシーと呼ばれてます。よさラボWEBサイトの運営サポートをやりながら、心理的安全な場を広めたいとも思い、記事も書いています!このようなWEBサイト(ブログ)構築のご相談も賜ります。気軽にご連絡くださいね。
「ここに居られて良かった」と思えるチームになる

  • チームの心理的安全性を高めたい
  • 安心して意見を言い合えるチームにしたい
  • メンバーの強みが活かされるチームにしたい
  • 「このチームにいられてよかった!」と思える場をつくりたい
  • 「ここで力を発揮したい!」と皆が積極的に思えるチームにしたい

そんなあなたや、あなたのチームにオススメなのが「チームのよさがみえる会議」です。あなたの会社にファシリテーターがお伺いして心理的安全性の高い場作りのお手伝いをします。お気軽にお問い合わせください。

まずはちょっと体験してみたい、という方にはこちらの「チームのよさがみえるセミナー」がおすすめです。直近の開催日程はこちらから。