コラム
AI時代だからこそ、自分で感じ、言葉にし、人と話す時間を

AIを仕事にどう取り入れるか。
業務をどう効率化し、生まれた時間を何に使うか。
職場でそんなことを考える機会があると思います。
その中で、私たちにはもう一つ、大切にしたい問いがあります。
「自分はどう感じ、どう考えているのか。
それを言葉にして、誰かと話す時間を持てているだろうか?」
先日、ある方とよさカードのセッションを行い、終わったあとの雑談で、AI時代の働き方について話が広がりました。
そこであらためて考えたのが、自分で感じ、考え、言葉にし、それを誰かに受け止めてもらう時間の価値です。
答えを受け取ったあと、自分はどう感じるか
アイデアを求めたり、考えの整理を手伝ってもらったり。
仕事を進めるうえで、AIが助けになる場面は多々あります。
提案を受け取って、「なるほど」と思う。
自分では思いつかなかった視点に、可能性を感じる。
そこから、もう少し考えてみる。
そんなふうに活用していくときに大切にしたいことは、自分自身の反応にも目を向けることです。
「この案の、どこがいいと思ったんだろう」
「なんとなく気になるのは、どうしてだろう」
「私たちの現場でやるとしたら、何を大切にしたいだろう」
整った答えを目にすると、そのまま納得したつもりになることもあるかもしれません。
でも、仕事の中で何かを選び、進めていくときには、自分たちなりの理由や、確かめたいことがあるはず。
その小さな反応を、置き去りにしないでいたいと思います。
まだ、まとまっていないことを話してみる
職場では、目的に沿って、わかりやすく話すことが求められます。
会議では結論を伝える、相談するときには要点をまとめる。
限られた時間で仕事を進めるためには大切なことです。
一方で、まだ整理できていない違和感や、小さな思いつきは、口にする前に引っ込めてしまう、という人も多いのではないでしょうか。
「うまく説明できないから」
「今、話すほどのことではないかもしれない」
そうして言葉にならなかったものの中に、その人ならではの視点や、チームで考えるヒントが含まれているかもしれない。
それがなかったことになってしまうのは、残念であり、チームにとっての損失です。
話す前に、すべて整理できていなくてもいい。
話しながら、自分でも気づいていくことがあります。
まとまった意見になる前の言葉を、安心して出せる場。
それをつくるきっかけに、よさカードを使った対話をお届けできれば嬉しいです。
正解のないカードから、自分の言葉が生まれる
よさカードは、文字、言葉、写真などをきっかけに、浮かんだことや感じたことを自由に話すカードです。
何に見えるか。どこが気になるか。そこから、どんなことを思い出すか。
正解・不正解も、決まった読み取り方もありません。
日常の小さなことを思い浮かべても良いですし、壮大なビジョンを語っても良い。
カードを眺めて、今の自分に浮かんだことを話してみる。
そこから、言葉が少しずつつながっていきます。
たとえば、仕事でやってみたいことについて考えるとき。
正面から聞かれると答えに迷っても、カードをきっかけに思い出した経験から、「そういえば、あのときは面白かったな」と話し始められることがあります。
何が面白かったのか。
その中で、自分は何をしていたのか。
今の仕事でも、やってみたいことはあるか。
一つの話から、次の問いが生まれる。
自分の感じたことを手がかりに、考えを進めていく時間です。
誰かに話すことで、考えが育っていく
自分の中に浮かんだことは、人に話してみると、また少し形が変わります。
言葉を探している間、待ってもらえる。
話したことに、うなずいてもらえる。
気になったところを、もう少し聴いてもらえる。
すると、最初はぼんやりしていたことが、少しずつはっきりしてくることがあります。
「話してみて、自分が何を気にしていたのかわかった」
「そう聞かれると、こっちのほうが大事なのかもしれない」
そんな気づきが生まれることもあります。
また、同じカードから、自分とは違う話が生まれるのも面白いところです。
「そんな見方があったんだ!」
「その話を聴いて、私も思い出したことがあります」
誰かの言葉に触れて、自分の中にも新しい言葉が浮かぶ。
それをまた話してみる。
自分で感じたことを持ち寄り、互いの言葉を受け取りながら、一緒に考えていく。
そんなやりとりを、ともに働く場の中で大切にしたいと思います。
効率化が進む職場に、対話の時間を
AIを活用しながら、仕事の進め方を工夫していく。
その中で生まれた時間の一部を、自分たちの感じたことや考えを持ち寄る時間にできたらと思います。
今、仕事の中で気になっていること。
やってみたいけれど、まだうまく説明できないこと。
最近、少し嬉しかったこと。
それらは、一人ひとりの中にあるものです。
AIに聞けば、考えるヒントや、言葉にする手助けはもらえるかもしれません。
でも、自分が何に心を動かされ、何をやってみたいと思うのかは、自分の中に耳を傾けてみないとわからない。
そして、自分でもまだ気づいていなかった思いが、誰かと話す中で、初めて言葉になることもあります。
すぐに結論が出なくても、まずは言葉にしてみる。
誰かの話を聴き、自分に浮かんだことを返してみる。
その中から、次に確かめたいことや、小さく試してみたいことが見えてくるかもしれません。
よさがみえるラボは、よさカードを通して、一人ひとりが自分で感じ、考え、言葉にし、それを受け止め合える場をつくっていきたいと考えています。

次のチームでの時間には、いつもの議題に入る前に、一枚のカードを囲んでみる。
まだまとまっていない言葉から、一緒に考える時間が始まるかもしれません。
▼よさカードについてはこちら
https://43-labo.com/#yosa-card
この記事のライター
高井ちずこ
よさラボの代表をしています。得意なことは場づくり、初動の推進力、カタチにすること。これらを活かし、よさラボでは主にファシリテーション、コンテンツづくり、突っ走り役を担っています!