ヨシヒロです。こんにちは。
「心理的安全性」って組織で自分らしく働きながら成果を出していくために大事だよ〜ってことを発信しています。そんな中、人事や組織開発の界隈では、これに似た「心理的契約」という言葉があることを最近知りました。
これまた聞きなれない言葉ですね。同じように“心理的”という冠(かんむり)をつけた言葉ですが、これらはどう違うのでしょうか?どういう関係にあるのでしょうか?比較しながら見ていきたいと思います。
(比較するもんじゃないっしょ、というツッコミは置いといて…)
Contents
心理的安全性とは
まずはそれぞれの言葉の意味をおさらいします。まず心理的安全性とは、あるテーマについて、チームのメンバーがお互い気兼ねなく意見を言い合える雰囲気のことを指します。
「こんなこと聞いたら何も知らないやつって思われるかな?」とか、「このタイミングで質問したら邪魔者だと思われるかな?」とか、そんな不安を感じることなくコミュニケーションが取れる状態、と言ったほうがわかりやすいかもしれません。
あなたもないですか?会社の会議で「今質問しようか、どうしようか…」と一瞬悩んでしまうこと。僕はあります。心理的安全性が大事です!って言ってる僕でも、やっぱりあります。そういうこと。
心理的契約とは
はい。それではもうひとつの心理的契約とは何かを次にご説明します。心理的契約とは、経営学の用語のようです。
「心理的契約」とは、企業で働く個人とその雇用主との間に、契約書などで明文化されている内容を超えて、相互に期待しあう暗黙の了解が成立、作用することをいいます。雇用契約は多くの場合、将来にわたる契約でありながら、その契約内容(労働条件や職務内容など)を状況変化に対応する形で具体的に明示することができないため、信頼に基づく心理的契約である側面が強いといわれます。
《日本の人事部 より引用》
普段意識することはほとんどないですが、会社で仕事をするということは、会社と個人が労働契約を結んで仕事をするということですよね。でも、
というように、採用の時点から労働内容がはっきりしているのは限られた企業や限られた採用方式(中途採用とか)だけかもしれません。
日本の場合(ようやく無くなる風潮が出始めていますが)新卒一括採用で、入社して一定期間の研修を受けた後に、「ではあなたはここに配属ね」というパターンが多いのではないでしょうか。
その良し悪しはとりあえず置いといて、このような労働契約は、まさに暗黙の了解の部分が多い心理的契約と言えるかと思います。
心理的契約の落とし穴
心理的契約という言葉には、“暗黙の了解”というものが含まれます。これはなかなか厄介なものだと思うのです。何が厄介かと言うと、両者の間で了解していることが異なっている場合がおおいにありえることです。
例えばですが、日本の大手企業であるABC商事に勤めているAさんという人がいるとしましょう。Aさんは長年、ABC商事のX事業に携わってきた、社内での評価は高い人材だとします。そんなAさんは、こんなふうに思っているかもしれません。
一方で、ABC商事の社長は、こんなことを思っているかもしれません。
X事業を責任を持って引っ張りたいと思っているAさん。一方で、これからの時代はY事業が必要と思い、そちらを強化するために優秀なAさんを異動させようと考えている社長。
もちろんAさんは会社のために頑張ろうという意志の強い人です。一方で社長も、Aさんのためを思い、より成長できる場を提供しよう(そして会社の利益にもつなげてもらう)との思いで異動を考えています。
さて、ここで社長から人事部を通じてAさんに異動の打診があったとします。このとき、Aさんはどのような反応をするでしょう?
もしかすると、「この先もこの会社のX事業を牽引していく」と自負しているAさんは落胆するかもしれません。さらには、「もうX事業に必要ない人材なんだ…」としょんぼりしてしまうかもしれません。
AさんがABC商事に入社した当時は、まだY事業なんて存在しておらず、X事業に人材を集中していたかもしれません。でも、時代が変われば企業としては新たな手を打っていく必要があります。これは経営者として当然のことですよね。
でも、人を採用する時点でそんな先の未来のことまでわからないし、保証もできない。でも日本の会社では“入社したら将来まで保証される”みたいな空気感がまだ残っている。この“保証”には働き方や仕事内容や給与や…いろんなものが含まれますが。
そしてここで、心理的契約の落とし穴である暗黙の了解のズレが発生するのです。
心理的契約と心理的安全性の関係
この話は、完全に僕の作り話です。こんなことありそう、と思いつきで作ったものです。でも、意外とその辺に転がってそうな話だなと思いませんか?実はあなたの周りでも似たような話があったりしませんか?
大きな会社ほど、社長の想いが従業員に届くまでに人事部やら総務部やらいろんな部署のフィルターがかかったりして、うまく伝わらなかったりします。これはヒエラルキーのあるピラミッド組織ではあるある話ですね。
心理的契約が成立している(どこの会社でも多かれ少なかれ成立している)会社内で、このような事例が発生したとき、せっかく優秀でやる気のあるAさんのような社員を失ってしまいかねません。失うとはつまり、Aさんの“よさ”が発揮できなくなってしまったり、会社を見限って他社へ転職してしまったりするということです。
そんな事態を避けるために、やはり心理的安全性が担保されたコミュニケーションが必要ではないかと思うのです。
へんな忖度なしに社長の想いやAさんの想いが互いに受け止め合えるコミュニケーションです。平たく言えばきちんと話し合ってね、ってことなんですが、その話し合いの場に、心理的安全性があるかないかで、結果が大きく異なります。
社長が、「こんなこと言ったらA君がやる気をなくすかな…」とか思いながら発言していたり、逆にAさんは「このタイミングでこれを言うと確実にY事業に飛ばされるな…」なんて心の中で思いながら発言していたり…
そんなお互いの想いが交わらないままの会話(=心理的安全性が低い会話)で話していては、本当にお互いにとっていい解決策が見つかるようには思えません。
まずはお互いの想いに耳を傾けること。お互いの価値観を認めあること。その後で、じゃぁAさんや社長や会社にとって最善の策はなんなのか?決めればいいんじゃないかと思います。
おわりに
と言うことで今回は心理的安全性と心理的契約の関係について考えてみました。
心理的契約は、特に日本の会社ではどこにでも存在するものだと思います。その中で、心理的安全性が保たれているかどうかは、メンバーが志高く仕事に邁進できるかどうかに関わってくる大事なポイントだと感じます。
あなたの組織では、心理的安全性は保たれているでしょうか?もし、少しでも不安なことがあれば、よさラボに相談してみましょう。何か解決策が見つかるかもしれませんよ?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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