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共感だけが「受けとめ」ではない

こんにちは。高井ちずこ(チィ)です。

このサイトでは「心理的安全性」について、さまざまな角度からお伝えしています。
「心理的安全性とは?」の答えも、人によってその表現はさまざまだなと思います。

よさラボらしく「心理的安全性とは?」を定義するとしたら、こんな表現。

高井
高井
「想いをそのままに発信でき、その人や想いを受けとめ合える空気感」

この記事では、「受けとめ合う」とはどういうことなのか、を書きますね。

Contents

安心・安全な場という環境

最近読んで、とても心を揺さぶられた本があります。


著者の寮美千子さんが10年に渡り奈良少年刑務所で実施された、「社会的涵養(かんよう)プログラム」の一環としての絵本や詩を用いた「物語の教室」の軌跡を記したものです。

出所後の社会復帰に向けてコミュニケーションや自己表現の力を高めるためのプログラム。罪を犯してしまった加害者だから刑務所にいるわけですが、そこへ至るまでには傷つき、心を閉ざし、強がりの鎧を着なければならなかったプロセスがあるのだということがわかります。
その傷ついた心を癒したのが、「自己表現」をする体験と、「受けとめられる」という体験でした。

詳しくは著書を読んでいただくのが一番ですが、いくつか文章を抜粋しておきます。

人間、ビクついたり怯えていると、萎縮してしまって充分に力を発揮できない。実習場にいる彼らは、まさにその状態だった。
(中略)
これを解消するために必要なのが「安心・安全な場」だ。これに尽きる。
(中略)
この教室は、彼らにとって「すぐに答えられなくても、ちゃんと待ってもらえる」「評価されない」「叱られない」「安心・安全な場」なのだ。だから、リラックスできる。リラックスすれば、充分に力を発揮できる。仲間との共同作業の中で、自分が持っている以上の力を発揮することも可能になる。それが、なによりも規律と能率を重んじる実習場とは大きく違うところだった。

 

「人の心には、必ずよき種が眠っていて、環境が整えば、自分から光に向かって伸びていく。その大切な環境が、安心・安全な場なのです」

私は、よさラボがチームにおいて「心理的安全性」を大切にしたい想いと似ているな、と感じて心が揺さぶられたのだと思います。

共感だけが「受けとめ」ではない

この本で、「社会的涵養プログラム」の受講者が書いてきた詩をもとに授業が展開される様子を読みました。

たった1行だけの詩、事実描写だけの硬い文からなる詩。母の思い出を書いた詩、心の内を色で表した詩。そのさまざまな詩を、他のクラスメイトから「○○くんは、この詩を書いただけで親孝行だったと思います」「○○くんは青と赤がほんまに好きなんやなぁ、と思いました」と「受けとめられ」、自己表現すること・受けとめられることによって癒され、受講生は劇的に変化していきます。

「受けとめる」と聞くと、「共感する」「賛同する」というイメージを持つ人も多いかもしれません。でも、そうでなくてもいいのです。「受けとめなくては」と、無理に共感を伝える必要はない。

この本では、ある受講生の「刑務所はいいところだ」という詩にまつわるエピソードが紹介されていました。育児放棄に遭い、小学校にも行っていない、事実上のホームレス・チャイルドとして生きてきた少年でした。彼にとって、屋根があり、食事も出る、風呂にも入れる刑務所は「いいところ」。
でも、他の少年たちは「いいところとは思えない」「やはり家族と暮らしたい」「シャバで友達と過ごすほうが楽しい」などと発言。賛同者はいなかったのです。
でも、この詩を書いた少年は、満面の笑みで「みんなにいろいろ言ってもらえて嬉しかったです。いろんな感じ方、いろんな意見があるんだな、って勉強になりました」と言ったそう。

このとき「共感だけが『受けとめ』ではない」と知った。違う意見でも、構わないのだ。相手を否定せず、きちんと自分の気持ちを述べれば、それはりっぱな「受けとめ」になる。人と人して対等に向き合うことこそが、大切なことなのだと、彼に教えられた。

本当にそうだな、と思います。心理的安全性の高い状態って、こういうこと。想いを誰もがそのままに発信して、それを受けとめ合えること

この本を読みながら、その世界に身を置いたような気持ちになり、涙が出そうになりました。

おわりに

あらためて、「安心・安全の場」と「受けとめ」の力を感じた機会でした。それらがいつもあるチームは、メンバーが力を発揮できるチーム。温かいつながりがあり、成長できる環境があるチーム。

チームにそれらをつくることを、よさラボはお届けしていきます。

 

ABOUT ME
高井ちずこ
よさラボの代表をしています。得意なことは場づくり、初動の推進力、カタチにすること。これらを活かし、よさラボでは主にファシリテーション、コンテンツづくり、突っ走り役を担っています!
「ここに居られて良かった」と思えるチームになる
  • チームの心理的安全性を高めたい
  • 安心して意見を言い合えるチームにしたい
  • メンバーの強みが活かされるチームにしたい
  • 「このチームにいられてよかった!」と思える場をつくりたい
  • 「ここで力を発揮したい!」と皆が積極的に思えるチームにしたい

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